ただいま準備中です。
当院の指の脱臼を治す過程(私自身の指の実際の写真です)
この写真は私自身の指の脱臼の治す過程を追っていきました。 当院ではこの様な流れで治していきます。
- ケガをした時にちゃんとした処置で治してくれる院を探してる方
- どうやって治療は移り変わっていくのかを知りたい方
- 固定を最低限でなんとかしてくれる院をお探しの方
- 自分でも処置を知りたい方
- 固定が取れた後のリハビリテーションのやり方を知りたい方
指を脱臼した! なるべく短時間にすみやかに整復しましょう(もとの位置に戻す行為)
きっかけは柔術の試合で相手の袖を持った時に引きはがされて、その時に右手の薬指の第2関節が外れてしまいました。
まずはその場ですぐに整復(外れた指を元に戻す動作)しました。ちょうどこの写真の様に外れてしまいました。
残念ながら私自身の指が外れてしまってる写真はないのですが、これには理由があります。
脱臼や骨折などをそのままにしておくとドンドンと腫れてしまいます。
早く骨を元の位置に戻す事(整復と言います)をしないと腫れのせいで肉(筋肉や軟部組織)が邪魔をして元の位置に戻すのが時間の経過とともに困難になってきます。
外れている間はずっと痛いのですが、元の位置に戻すと痛みはほぼ引けてきます。(これを持続的脱臼痛と言います)
骨折が無いかもチェックします。 縦軸方向に指に負担をかけると骨折の場合痛みが出るのですが今回はそれはありませんでした。
音叉でもチェック。骨折があると痛みが出るのですがその症状はありませんでした。
とりあえず固定して痛みが引けた翌日・翌々日にもチェックしてこの2つの項目が出現するようならレントゲンを撮って再チェックをしようと思いました。
しかしこの時点では指の大きな変形や曲げ伸ばしの動きに変化はなかったので、問題はないと診断しました。
この写真が整復(もとに位置に戻した)直後の私の指の写真です。
薬指の第2関節の部分が腫れあがって内出血が見えるのが分かりますね。
たとえ最悪骨折があったとしてさらに変形があったとしても、腫れが引けない限りは整復は出来ませんし、2週間以内なら問題なくくっついてしまいます。
48時間はアイシングをしましょう 外れた指を治した後のその直後の処置
まずは骨を元の位置に戻してその後にすぐさまアイシングをします。
腫れるとそこに痛みを感じる化学物質(ヒスタミンやブラジキニン)が溜まってくるので、痛みが徐々に出てきます。 痛みを止める意味でもアイシングをするのです。
この急激に腫れが出てくる時間は48時間続きますので、それに伴ってアイシングを48時間継続します。
◆ 温めると腫れがさらに強くなって痛みもさらに強くなるので、2日間はお風呂はシャワー程度にします。
✖ 同じ理由で揉んだり、マッサージをしてはいけません
✖ お酒は飲んではいけません
この3つをすると腫れが強くなって痛みが強くなります。
その他の理由としては「固定装具をした時に腫れが強くなると、中できつくなって血液の流れを止めてしまう」のがとても危険な為です。
固定装具の周りからアイシングを継続します。
ビニール袋に氷を入れて、水を少々入れます。 その後にその氷嚢を厚手のタオルなどでくるんでアイシングしましょう。
患部が1℃下がればそれでO.K.です。 あまり長時間冷たすぎると凍傷を起こしてしまう方がいるので肌の弱い方などは注意しましょう。
市販で売っているおでこにピタッとくっつけるアイシングシートなども良いでしょう。
アイシングしながら、まずは固定装具をしましょう
その日にすぐに固定装具を作成します。
当院では患者さんの負担を避けるために、この様なプライトンシーネという素材を使ってます。素材としては石膏が入ってます。
石膏ですがこの装具は水洗いもお湯洗いも出来るので、とても清潔に使用できます。もちろん洗剤もO.K.
80℃のお湯で柔らかくしまして、少し冷ました後に指に巻き付けます。
完全に固まるのが約3分くらいです。固まった後は指を強く曲げたくらいではびくともしません。
指にカチッとはまる様に出来ていますので、指をブラブラしたくらいでは落ちません。
外すときもスッ、と痛みなく外す事が出来ます。
当院では患者様が手を使う職業に合わせて角度などを調整します。
例えば以前の患者さんはPC作業でマウスを使うため、そのマウスに合わせた指の形を作成しました。
この様な形になってカチカチに固まります。
痛くない指でも強く曲げたとしても壊れてしまう事はありません。
力仕事の方もこれをつけていればまずは大丈夫です。
確かにもともと石膏成分ですから、ちょっとした石と同じくらいの硬さですです。なかなかの強度を保ってくれます。
固定は緩くなってくるので交換しましょう 受傷後48時間経ったら温めて固定を継続しましょう
受傷後48時間経ったらドンドン温めましょう。
これは「血液の栄養素と壊されている組織を交換する為」です。(新陳代謝を上げると言います)
この時になると
〇 お酒はO.K.
〇 お風呂は温まってもO.K.
✖ まだまだ組織は壊されているので患部へのマッサージは禁止です。(患部周囲はO.K.)
日を追って段々と腫れが引けてきます。 当然、固定装具が段々と緩くなってきます。
そうすると固定にならなくなってきますので、固定装具を新たに作成します。
腫れが引けて前に作った固定装具と比べると大きさが違うのが分かると思います。
上が作り直した指サック型のシーネ固定
下が腫れてブカブカになってしまった指サック型のシーネ固定です。
ここまでブカブカになってしまうと固定の意味がないので作り直すわけです。
人の治り方によって固定を交換する日程は様々なのですが、おおよそ4日~7日の間に作り直しをします。
固定期間は10日~14日が目安になってます。
当院での電気療法 アスリートのメディカルルームで活躍してる機器を使用してます
当院のES-4000では
1.痛み止めの「ハイボルテージ療法」
2.骨の中などの深部まで長時間に渡って血流を良くする「MCR・マイクロカレント療法」
この二つのモードを使用していきます。
☆ まず初日~3日など痛みが著明な時は痛み止めの「ハイボルテージ療法」を8分間かけます。
☆ 初日~治るまでの期間は「MCR・マイクロカレント療法」を8分間かけます。
指なのでこの吸着タイプにしています。
ケースによって腰などを大まかにかける時は吸盤タイプに。
実費治療などでもっと・さらに細かくかける時は手袋タイプに切り替えてさらに触りながら治療をしていきます。
この電療は身体と同じ微弱電流で流すので、「まったくビリビリする感覚はありません」
患者さんによっては「これ・・・電気かかってないですよ??」と言われたりします(笑)
私が実際この医療の現場に立ってみた感想ですが、意外と電気療法の「ビリビリ感」が嫌な人が多いです。
なのでその「ビリビリ感」が嫌な人はお勧め出来ます。
この機械は実際に
「オリンピックのメディカルルーム」
「Jリーグなどのメディカルルーム」
「プロ野球のメディカルルーム」
などにも実際に配置されていまして「長時間血流が良くなる=血液の中の栄養素と壊された組織が交換される時間が長くなる」という理由で治る期間が早いので愛用されています。
実際に私の指も16日目で格闘技などの激しいスポーツでも問題なく使えました。
1週間を過ぎた辺りで少しずつ運動療法が始まります 痛いけど動かした方が早く治る理由!
8日目の私の指の曲がり具合です。まだ固定装具は継続しますが、痛みがかなり引けてきたのでリハビリテーション運動を開始します。(まだマッサージは禁止です。温めるのは継続です)
まだここまでしか曲がりません。 ギュッと握ると痛いですね。
とは言ってもグイグイ曲げるわけではなく8日~11日目までは固定装具の中で指を曲げたり伸ばしたりします。
お風呂に入った時は、曲げれる範囲で痛みが強くない程度に曲げ伸ばします。
曲げ伸ばしのみではなく指を捻ったりもしてさらに少しずつ柔軟性を高めていきます。
順調にいけば14日。つまり2週間で固定装具を外します。あまり長い時間固定をしていると筋肉の萎縮で返って使いづらかったり拘縮が強くなって(硬くなる)硬さのせいで痛みが強くなってしまう為です。
よく患者さんから「先生・・まだちょっと痛いけど、動かして大丈夫なのですか・・?」と質問があります。
動かした方が良い理由が2つあります。
1.治っていく過程で組織が厚くなって硬くなる為。
私たちが身体の繊維状の組織を治す時に、その線維が重ねって重なって・・・治っていくわけです。
もちろんその組織にも痛覚がありますので動かすと痛いのです。
「組織が厚くなって動かすと痛い」状態とは、「身体が硬い人がストレッチすると痛くなる状態」と同じです。
組織が硬くなって痛いので、柔軟性をつければおのずと痛くなくなり、動く範囲も元の様になっていくでしょう。
2.ずっと固定をしていると組織が固まってきてしまいます。
ずっと固定してると、同じように組織が硬くなっていきます。 これは指に限らずどこの靭帯や軟部組織も同じです。 人間は使わなくなっていく部分は硬くなったり小さくなっていきます。 (これを「廃用性萎縮」と言います)
しかしこれも前述したように組織が線維化してるので同じように「少し痛くても悪くなるわけではなく、ゆっくり大きく動かすようにする」と柔軟性が出てきて元の動かす範囲になっていきます。
3.ある程度治ってきた組織は少し負荷をかけた方が治りが早くなっていく
これも最近のリハビリテーション医学では常識です。
たとえを挙げるとすれば、ほんの15年くらい前は手術をしたり帝王切開した時などは10日程はベッドから起き上がってはいけませんでした。
ところが今現在は術後体調が良ければ2日ほどしたら少々痛くても歩いてもO.K.です。病院によっては翌日O.K.の場所もあるくらいです。
医学は日々進歩しているのです・・・
とはいうものの、当院のリハビリテーション運動は「痛くはしません」あくまでも患者さんがちょっと厳しいいかな・・?というところでやめます。
それもSPAT療法をご教授頂いた鹿島田忠史先生の操体原理医学によるもので、「気持ちが良いのは身体に良い。痛いのは身体に悪い」といった原則からなるものです。
私自身も固定装具の中で6日を過ぎた辺りから動かすようにしてました。装具の中なら動かしてもまったく痛くありません。
ある程度硬くなっている状態を柔らかくしてからリハビリテーション運動に移行する様にしています。
なので安心してリハビリテーション運動を連日受けに来ていただければと思います。
ちょうど2週間経ちました。 この日より固定を外します。
この写真はちょうど2週間経った写真です。
押して痛みはなくなりました。 曲げるとここまで曲がる様になりましたがギュッと曲げるとまだ痛いです。
リハビリテーション運動もこの日より大きく動かす様な運動に変わります。(1週間前は固定装具の中で曲げ伸ばししかしませんでした)
◆ リハビリテーション運動の手順
1.まずは可能な範囲で曲げてそこから伸ばすようにします。この時にもう片方の手で逆に伸ばさないように抵抗を加えます。
伸ばす強さは先ほど書きましたように「軽く痛みが感じるか突っ張る程度」でO.K.です。
これを5秒間を5回やります。
2.次に逆に指を伸ばした状態で抵抗してゆっくり大2関節を意識して曲げます。
これも5秒間を5回やります。
同じく痛みが軽く感じるか、無理のない突っ張る程度で動かします。
3.出来る範囲で大きく伸ばした後に大きく曲げます
これは10回動かします。
第2関節の部分を意識しながらなるべく強調するように動かしていきます。
4.今度はさっきとは逆に、出来る範囲で大きく曲げてその後に大きく伸ばします。
これも10回行います。
これも第2関節を強調する様に動かすのは同様です。
5.出来る限り大きく曲げて・伸ばしてストレッチを行います。その他に捻ったりして全体的に硬さを取っていきます。
ただ大きく曲げたり伸ばしたりするだけではなく、曲げた後に左右に振ったり少し捻ったりします。
指は曲げ伸ばしだけではなく、物をつかんだ時に滑らない様に少し捻る様に使用します。
曲げ伸ばしの硬さ(拘縮)を取っても、捻った動きの硬さを取らないと重い物をつかんだ時に痛みが出たりするのはこのせいです。
これを大体1分~2分くらいやります。
久々に動かすので、最初は少し怖い感覚もありますが、硬さが取れていくとその痛みや突っ張りもなくなっていくので日を追って徐々に動かしやすくなっていきます。
この期間が約1週間~10日程です。
その後の指の状態
この写真は18日経った写真です。
もうこの頃には柔術や柔道の練習や空手の練習も問題なく出ています。
実際には16日目で握っても伸ばしても痛みはほぼ感じなくなりました。(この時はマッサージはO.K.になります)
指を伸ばした状態で少し捻るとまだ少しツッパリ感がありますが、これも拘縮のツッパリ感なので徐々の取れていくでしょう。
その証拠に動かした後や、お風呂で温めた後は柔軟性が戻っているため、痛みが全くありません。
このままリハビリをもう3・4日続けていたらどんな事をしても痛くないので完治としました。
注意! 脱臼や捻挫も放置しないで必ず固定を2週間はしましょう!
脱臼にしろ捻挫にしろ「固定を2週間は継続する」という部分は大切になってきます。
どんなに素晴らしい電気治療でも、リハビリテーション運動でも「動かさないようにして組織が治るのを早める」という行為は大切です。
私の治療で唯一欠点があるとするならば、「固定が外しやすくてついつい5日程経ったら外してしまって痛くなるケースが多い」という点でしょうか。
固定が外しやすくて洗い易いという患者さんが負担を感じないようにしている反面、この様なデメリットもあるという事です。
この部分は毎日の患者さんとのやり取りで常にチェックしたりする様にしています。
もし固定期間を守ってないと・・・靭帯や軟部組織が緩んでしまって治ってしまうので、いつまで経っても指が痛かったり、また再脱臼したりと外れたりしやすくなってしまいます。(これを陳旧性の外傷と呼びます)
なのでしっかり固定期間は設けてあげましょう!そっちの方が結果的に早く治りますよ!