みなさんこんにちは。片野ですm(. .)m
いつも一つの場所でいる地域密着型の私の仕事としては、たまにはどこかに行きたくなるのが人の心情でして・・・
もちろん私自身はブラブラするのが好きでして、それもあります（笑）
行きたいところはいくつかあるのですが、今回は２つだけ紹介します。
その場所は行ったことは無いのですが、行きたくなったきっかけのインパクトが強すぎたのでとても行きたくなった場所のなのです・・・そのエピソードを話したいと思います。
昔、私はとあるいわゆる老人ホームで個人の部屋を回ってそれぞれの方にリハビリテーション運動をしてました。
その方は完全な認知症で、ベッドから起きられず言葉を投げかけてもまったく無反応。もちろん顔も無表情。
目は宙を泳いでいて水もこちらが水差しを差し伸べないと飲めない方でした。
その状態が数年に渡っており、お医者様もこれはしょうがないという事でそのまま放置、というかなり認知度が高い方でした。
まったく返事が返ってこない状態。それでもリハビリ運動の時は声をかけなければいけません。やっぱり人間ですから・・・ 他の方はどうか知りませんが私は出来るだけ天気の話・最近のゴシップ情報・相撲の話・・色々話しかけながらリハビリ運動を心がけるようにしてました。
頭に少しでも刺激が行った方が身体も動く可能性が・・・あるだろうと思ったからです。
でも病気とは残酷なもので、数年一言も私とは話すことはない日々が続きました。
当然話題も尽きますので、そのかたの情報を得るためにカルテやご家族からの情報をちょいちょい聴くようにしましたところ、その方は昔外交官をされていて世界各国を回って、現役のころは数か国語に堪能してるほどの方という事を知りました。
そんな情報も頂いてなんとなく忘れかけたとある日、私もしゃべり疲れてフッと「そういえば外交官してらしたんですよね。もしまた行きたい国があるならどこですか？」といつもの様に返事は返ってこないモノだろうと感じながら話しかけましたところ、突然目の色が変わって・・・
「おれはな。やっぱりニューオリンズにもう一回行きたいんだ。」
「あそこはいいぞ・・・道端にいるストリートのジャズミュージシャンが日本のプロなんて目じゃないくらいすごくてな・・・角を曲がるたびに最高の音楽を聴かせてくれるんだ・・・」
私はびっくりしました・・・初めて声を聴くし、カルテには（高度な認知症の為に会話不可能・話しかけても無反応）と書いてあるのに。
私が動揺しながらも「そうですか～ 素晴らしいんですね・・・ その他にありますか？」(;^_^A
と話しかけると、「あとは・・・シンガポールだね。あそこはホンっとに美しい街並みだった・・・水も空も綺麗だったぞ・・・」と話し終わった後にすーっつと元の目の色に戻りました。
その後はいくら話しかけても無反応で帰ってくることはなかったのです。
少し大きな施設だったので、その出来事を報告書に書かなければなりません。書いて数日したら担当医に呼び出されました。
医師と看護婦はびっくりして最初は私が内容を盛って書いたのだろうと疑っていたのですが、ニューオリンズとシンガポールの話題を出した途端、その話を信じてくれました。
その方は病気以前からジャズが好きという事で有名だったり、プライベートでもご家族とシンガポール旅行にたびたび行っていたくらいだったのです。
アルツハイマー型だったので、脳がスカスカになってるので記憶を引き起こす伝導路なんてないはずなのに・・
そんなこともあり「無念だろうな・・そこまで・・・そこまで思いつめて行きたかった場所ってどんな場所なんだろ・・・」と思うようになりその人の代わりじゃないけれど一度は行きたくなった場所になりました。
きっと人間の願望は時には医学的に説明がつかない出来事も起こしてしまう奇跡があるのだと考えさせられる出来事でした。
いつもと違ってちょっと重い内容ですが、たまには・・・ね(;^_^A
ご拝読ありがとうございましたm(. .)m
